■ 東洋医学で知るあなたの身体のタイプ
東洋医学には「気血水」(き・けつ・すい)という身体を支える3本柱という考え方があります。「血」は、文字通りの血液で、「水」は「血」以外の体液(水分)です。そして、「気」は生命活動の根幹をなすエネルギー源です。
この「気血水」が常に身体の中を巡ることで、心と身体の健康が維持されますが、「気血水」の巡りやバランスが崩れると、体調が悪くなってしまいます。
中でも、「血」の流れが緩慢になり、栄養が身体の隅々まで行き渡りにくい状態が「瘀血」(おけつ)です。
血の巡りが悪くなると、栄養を届きにくくなると同時に、身体にとって不要なものの回収や排出も悪くなります。その結果、様々なトラブルが起こりやすくなってしまいます。
今回は、その「瘀血」についてご説明します。
前回同様、簡単な診断テストもつけておきますので、ご自分が「瘀血」に当てはまるかどうか調べてみてくださいね。
■「瘀血」(おけつ)とは?
血液の質や血管の状態が悪いことから血液の循環が緩慢になり、身体の隅々まで栄養が巡らない状態の「瘀血」。
瘀血の人は、血液ドロドロな状態になっていることが多く、その結果、血の流れが悪くなることで、目の下のクマやアザができやすく、シミやニキビ、肌荒れなどの肌トラプルに悩まされがち。肩こりや関節痛、頭痛などが起こりやすくなります。
現代人は、瘀血の状態になってしまう要因が多くあります。特に、肉や揚げ物など油っこい食事が多くなると、血液がドロドロになり、血の巡りが阻害され、瘀血になってしまいます。
また、不規則な生活やストレスや、運動不足も瘀血の原因になります。
瘀血は女性に多く起こりがちで、月経時に痛みなどの症状があったり、生理が不順だったりする方は、瘀血かもしれません。
ぜひ、次の診断を行なって、身体の状態をチェックしてみてくださいね。
女性では、生理不順や不正出血、無月経、早期閉経のおそれもあります。
■あなたが「瘀血」の状態かどうか診断してみましょう。
こちらの表にある、身体の状態をご自分で振り返り、「当てはまる」「少し当てはまる」と思う場合は、それぞれの点数を足していってください。もちろん当てはまらない場合は足さなくて大丈夫です。
「瘀血」の診断は男性・女性の点数が違いますので気を付けてください。また、生理不順の設問は、男性は点数を足さないようにしてくださいね。
さあ、さっそくやってみましょう。
いかがでしたか? 何点になりましたか? もし、合計点数が「21点」を超えていたら、あなたは「瘀血」の状態と言えます。
■瘀血の状態を改善するには?
「瘀血」の状態を改善するには、大きく2つあります。
まずは、血の状態を良くすること。つまり、ドロドロの血からサラサラの血へ改善することです。
もうひとつは、血の巡り自体を良くすることです。
したがって食生活を見直すことはとっても大事。肉や揚げ物など油っこいものを摂りすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。また、カロリーにも気を付けて、食べ過ぎにも注意しましょう。
また、血行を良くするため、遍度な運動やストレッチを習慣づけましょう。デスクワークなどで同じ姿勢を長時間続けないように注意。
また、瘀血の状態では、下腹部に血が停滞しやすくなりますので、腹式呼吸やお腹を動かす運動を心がけるといいでしょう。
入浴はシャワーだけですまさず、湯船にゆっくりつかって体を温めてるようにしてください。お風呂上がりにストレッチをするのもおすすめです。
■瘀血を改善する食べ物って?
「血」の状態をサラサラにするために、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれる「青魚」を積極的に摂るようにしましょう。
「血」の巡りを良くするためには、お酒も効果があります。でも、飲み過ぎは禁物。飲み過ぎると血液がドロドロになりがちですので、少量にとどめることが大切です。
また、できるだけ温かい状態にして食べるようにしましょう。野菜などはスープや炒めものにしたりするなど工夫してください。
ぜひ、これらを心がけて、瘀血の改善に努めてくださいね。
「血」をサラサラにする食べ物イワシやアジ、サバなどの「青魚」、ホウレンソウやトマト、ネギ、玉ネギ、青紫蘇
「血」の流れをよくする食べ物チンゲンサイ、なす、れんこん、きくらげ、酢、サフラン、よもぎ、ターメリック
身体体を温めて代謝をアップさせる食べ物うなぎ、羊肉
■「瘀血」の状態を改善するには、こんな漢方茶がオススメです
「瘀血」の状態がある時には、漢方茶はとても効果的。温かくした漢方茶をゆっくり飲んで、身体を温めるようにしてください。
「瘀血」の状態を改善するには、血液の巡りをよくする「よもぎ」や、「サフラワー」「アマチャヅル」「山査肉」などが配合されているものがいいでしょう。
また「みかん」や「ゆず」「陳皮」などの柑橘系ハーブティーも血行を促進させるのにオススメです。さらに、生姜など身体を温めるものを積極的に摂るようにしましょう。
漢方茶を飲んで、心をリラックスさせることも大切。身体を温め、血の巡りを改善して、日々の健康維持につなげてくださいね。
「統合医療のスペシャリスト 医学博士・川嶋朗先生の「東洋医学」コラム」シリーズ
川嶋朗先生
東京有明医療大学保健医療学部
鍼灸学科教授
広島大学医学部客員教授
一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当
一財東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。
自然治癒力を重視し、近代西洋医学と補完・代替医療を統合した医療の実践を日本の医科大学で初めて立ち上げ、現在も日本の医療系の大学の教育・臨床・研究の現場に立っている。
「よりよく生きる」「悔いのない、満足のいく人生を送る」ための心得として、「自分の理想的な死とは何か」を考えるQOD(クオリティ・オブ・デス=死の質)の提唱者。